”優秀な人材は第一子が多いらしい”…の「ホント」のところ。
大昔の話ですが、私が中学生だった時、 成績は10段階でつけられていました(最近は、5段階評価が一般的ですが)。 私の数少ない自慢話の1つに、中学1年生の1学期の成績が、 同学年の学年末には3段階あがったことがあります。 当時、担任の先生に「よくがんばった」と大変褒められたことを覚えています。 頑張れば、10段階評価で3段階くらいは上がるものだと信じるようになりました。 5段階評価にすると、1.5段階、よく言えば2段階アップにあたるでしょうか。 そして、指導者になった時、教え子の中学生の中に、 一年足らずで5段階評価で3段階あげた生徒に出会いました。 5が取れたとしてもスタートは2だったということです。 4であればスタートは1だったということです。 私自身の伝説が崩れた大変うれしい出来事で、今でも決して忘れられません。 なぜ、ここまで極端に上がったのか。 指導者であった私にもはっきりとはわかりません。 私の教科的な指導法が特別に優れていたとは全く思っていません。 ただ、昔読んだ本(魔法のコーチング)の内容を思い出しました。 その本では、アメリカにいる第一子(長男・長女・一人っ子)は、 35%ほどなのにもかかわらず、多くの職業の優秀な人材を調べてみると、 その40%から、職種によっては80%を第一子が占めているという情報を受け分析しています。 もちろん、生物学的に第一子が優秀だというのではなく、 多くの親が他の子どもに比べて、第一子に特別扱いをしている可能性を訴えているのです。 そのアプローチとは、「期待」「責任」「フィードバック」です。 第一子に対して、親はこの3つのアプローチをしがちだというのです。 「期待」とは、その言葉の通り期待をかけるということです。 今はできていなくても「貴方なら必ずできる」と信じて、 常にメッセージをかけ続けることです。 目標をイメージさせると捉えてもいいでしょう。 「責任」とは、役割を与えると言ってもいいかもしれません。 「お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだから、妹や弟の面倒を見るのよ」とか、 「妹や弟の手本になってね」ということがありますよね。 これが、役割を与える、責任を与えるということです。 「フィードバック」とは、承認することです。 「あなたのやっていることはOKよ」とか、 「こうやってみたらどう?」というアドバイスも含まれるでしょう。 つまり、第一子に向けたアプローチが、 第一子のパフォーマンスを高めている可能性が高いというのです。 これは、パフォーマンスを挙げたいどんな子どもに対するアプローチの大きなヒントになります。 前述の教え子に何をしてきたかと思い出してみると、 最初の内は、確かにスラスラ問題を解くことはできませんでした。 しかし、説明を聞く姿勢も、その後の態度も大変素直でした。 必ずこの子は、80点取れると確信しましたし、本人にも 「こんな風に勉強していれば、必ず驚くように成績が伸びるし、 得意になるかもしれない」と言い続けましたし、 「それが実現すれば、数学が苦手な子どもの気持ちが分かるようになるし、 そんな君が数学の先生になったら生徒が幸せだ」とも伝えました。 目標をイメージさせたわけです。つまり「期待」をしました。 そして、授業だけでなく、家庭学習として宿題も課しましたし、 学習計画も立てさせ、計画的に学習するように伝えました。 つまり、「責任」を与えたのです。 承認活動は、適切な行動ではもちろん、不適切な行動があった時にも、 はっきり伝えました。もちろん、前述のような生徒でしたから、 褒めることが多かったし、即座に、その都度伝え続けました。 これが「フィードバック」です。 先ほどの本の内容の枠組みで振り返ると、 まさしくその通りにしていたなと今振り返れば思うのです。 もちろん、私のアプローチに応えてくれた教え子自身の努力による成果ではあります。 今のお子さんに対して、親としてもの足りない部分も少なからずあるでしょう。 しかし、「子どもは変われるものなんだ」と、改めて確信する日々にしていただき、 今回のアプローチの例を参考にしていただけたら幸いです。