☆ まず、共感! ☆
私たちは、子どもをやる気にさせようとか、 新たな行動をさせようとする時、一般的に、 「褒める」、「励ます」、「叱る」、「批判」というアプローチをするものです。 次の3つの会話例で、ご自分が子どもになったつもりで味わってみて下さい。 例1) 子:「テストで90点とったよ!」 母:「えらいわね。今度は100点とれるように頑張ってね!」 例2) 子:「試合に負けちゃった」 母:「負けたことを、いつまでもクヨクヨしていても仕方がないじゃない。 今度は勝てるように頑張りなさい」 例3) 子:「今日、忘れ物しちゃった」 母:「『忘れ物しちゃった!』じゃないわよ、いつも、 『前の晩に、しっかり持ち物を準備しておきなさい』 ってあれほど言っているじゃない!」 いかがでしょうか。子どもとして、やる気や行動が変わりそうですか。 例1では、子どもは、「テストで90点とったよ!」の次に、 どんな言葉を続けたいのでしょうか。 例2では、「試合に負けちゃった」の次に、 どんな言葉を続けたいのでしょうか。 例3では、「今日、忘れ物しちゃった」の次は、 どんな言葉を続けたいのでしょうか。 これらの子どもが続けたい言葉に意識を向けていると、 他のアプローチが見えてきます。 例4) 子:「テストで90点とったよ!」 母:「嬉しそうね」 子:「そりゃ嬉しいよ。あんなに苦労して勉強したんだもん」 こうなると、単に点数だけに喜んでいるのではなことが察せられます。 「苦労した甲斐があった。苦労したけれど、苦労すれば成果につながることに満足」 ということを実感しているのかもしれません。 「点数が良かったから喜んでいるのね。 それじゃあ、褒めてあげれば、もっと頑張るだろう」 というように親が捉えていたとしたら、親子の認識がずれてしまいます。 子どもにとってみると、「そこじゃないんだよな」ということになるかもしれません。 そうなると、親のアプローチが、子どものやる気や態度を変えることに役立たず、 このようなずれが続けば、子どもは親に話すことを控えるようにもなってしまう恐れもあります。 ポイントは、子どもの「テストで90点とったよ」の言葉だけでなく、 声のトーンや表情を観察して、「嬉しいのか」、「悲しいのか」、 「落胆しているのか」を察して、言葉にした「嬉しそうね」の一言なのです。 この一言によって、子どもが、「そうなんだよ…」、または、 「そうじゃないんだよ…」とその発言の詳細を話してくれる呼び水になるのです。 親の気持ちを伝えるのは、この詳細(子どもの本音)を聞いてからでも遅くありません。 この一言こそ、共感なのです。 お子さんの気持ちを察して伝える共感を自然にできるようになると、 お子さんが自ら学ぶ機会となる上に、 お子さんとの会話がもっと楽しくなるのです。 是非、前述の例2、例3の共感も考えてみてください。