「教育の目的は、子どもの心にエネルギーを与えること!」
◇今回の記事を取り上げたのは、私が40年以上前から思っていることが、
ある意味、やっと記事になったからだ。
私は、学生時代、非行少年の指導について学んでいた。
その中で、なぜ子どもたちは問題行動を起こすのか、
そこを考えないとダメなのではないか。そういう疑問を持った。
子どもたちは、親に対して愛情確認のために
問題行動を起こすことが多いということを色々な事例から知った。
しかし、それだけでは、問題行動の質(程度)が、規定出来ない。
なぜ、そんなことをしたのか、の「そんな」が説明できない。
「愛情確認のために」やったとしかわからない。
◇あれこれ考えているうちに、一つだけ学生時代に腑に落ちたことがある。
少なからず子どもたちは、問題行動を起こすが、
その問題行動の質と親子関係のこじれ方には、
何かつながりがあるのではないかということだ。
そして、私の関心は、問題行動を起こして、それを解決する方向ではなく、
問題行動を起こさない親子関係を創ることに向いていった。
◇私が考えたことは、子どもたちが、親から重要だと思われている実感を持つことが、
非常に大切なのではないか。つまり、子どもたちのセルフ・エスティーム(自己重要感)を
高めることが非常に重要なのではないかということだ。
他人から重要だと思われない限り、特に、自分にとって重要な他人
(親や教師や親友や尊敬している人など)から、
自分は認められていると思うことがない限り、
自尊感情も自己肯定感も生まれない。
そして、心のエネルギーも高まらない。
◇他人と相互承認関係があるからこそ、
自分を高める方向へと人間は生きていけるのだ。
なぜならば、他人が認めた自分を、更により良くなって
多くの他人から認めてもらおうとするからだ。
自信が与えられるからだ。
自信とは、自分の可能性を信じることだから、
自分の可能性にかけて、私たちは、自分を高めようと努力をしようとするのだ。
◇そして、私は、教育とは、子どもたちのセルフ・エスティームを高めること。
子どもたちの心にエネルギーを与えることだと理解したのだ。
自己肯定感が高いほど正答率も高く
学力テスト、鹿児島県教委が分析
(朝日新聞12月25日)
〇鹿児島県教育委員会が2024年度の全国学力・
学習状況調査(全国学力テスト)の県内の結果を分析したところ、
自己肯定感が高い児童生徒ほど平均正答率が高い傾向が読み取れた。
ただ、自己肯定感の高い児童生徒の割合は全国平均を下回った。
〇全国学力テストは4月に小学6年生と中学3年生を対象に実施。
結果分析は11月に公表された。
〇自己肯定感の高さは、「自分にはよいところがあると思う」という設問に対し、
1.当てはまる
2.どちらかといえば当てはまる
3.どちらかといえば当てはまらない
4.当てはまらない
のどれを選ぶかで判別した。
〇自己肯定感と教科ごとの結果との関係を調べると、
小学国語の場合、1を選んだ児童の平均正答率は71.0%、
2は68.7%、3は65.6%、4は62.4%と、
自己肯定感が高いほど平均正答率が高くなる傾向がはっきり現れた。
小学算数と中学国語、同数学でも同様の傾向を示した。
〇一方、自己肯定感について1を選んだ県内の児童生徒の割合は、
小学生36.8%、中学生36.0%にとどまった。
前年度より小学生で1.3ポイント、中学生で5.1ポイント増えたものの、
全国平均と比べると小学生で6.6ポイント、
中学生で4.4ポイント下回っている。
〇自己肯定感を高めるには「教師が児童生徒のよさを認めたり、
活動や取り組みを価値づけたりすることが求められる」とした。
結果分析は県教委のホームページに掲載されている。