☆ 子どもの自己評価を確かめてみよう! ☆
子:「頑張った のに、駄目だった」
親:「違うわ、頑張らなかったから駄目だったのよ!」
子:「でも、私、頑張ったよ!」
親:「他人はそれ以上に頑張っているのだから、あなたは頑張ったとは言えないわ」
上は、
ある結果が出た時の親子の会話です。 さあ、この子どもは、親の言う通り頑張っていないのでしょ
うか。親としては、なんとか親の望む結果を出して欲しいものですが、あまり結果だけに拘り過ぎると 、
思わぬリスクが生じる場合があります。
そのリスクとは
、「 自分自身の達成感に満足してはいけない 」「 常に親(他人)を満足させなければならな
い 」 という、自律とはほど遠い信念を持ってしまうことです。
そこで、以前、私が生徒に指導していた時のある生徒A さん との会話をご紹介します。
私:「テストどうだった?」
A:「(遠慮がちに)ちょっと良かった!」
私:「ほんと?(80点位とれたのかもしれないと思いながら……)何点だった?」
A:「49点」
私:「50点満点?」
A:「いいえ100点満点です。でもね、先生!前回30点だったのに、19点も上がった んです」
私:「(慌てて……)そうだね。頑張ったね」
A:「そうですよ。頑張りました」
私:「(気を取り直して……)それは良かった。次は、何点位とるの?」
A:「55点とれたらいいですね」
私:「今回、頑張って 19点も上げたのに、次は6点アップじゃあ少なくないかな」
A:「確かにそうですね。でも、私、勉強得意じゃないから」
私:「得意じゃないのに、30点を49点にし たのは、まぐれだったのかな」
A:「まぐれじゃありません。私、頑張りました! 」
私:「そうだろ。得意でも、不得意でも、今回のように頑張れば、55点なんて目じゃないんじゃない」
A:「確かに 」
私:「単純に考えても68点は取れそうじゃない。キリが悪いから70点目指して勉強してみたら?」
A:「わかりました。70点目指します 」
私からすると、最初のテストの結果は満足のいくものではなかったのですが、生徒にとっては、自分の努
力の成果に満足していたのです。次のテストでは、58点でした。「先生、約束を守れず、ごめんなさい」
と謝られました。確かに目標点数には届きませんでしたが、本当に前回以上の 頑張り でした。
最初に私が、 私の基準で評価をしていたら、次の機会にこんなにやる気で頑張れただろうかと不安になり
ました。この後は、生徒に結果を訊ねる時は、「君はどう感じているの?」と生徒の気持ちを聞くように
しています。親の理想は理想として、まずは子どもの気持ちを確かめてみるとよいでしょう。「頑張った」、
「頑張らない」の言い争いや思い違いからは、子どものやる気の活力は生まれてこないからです。
まずは、子ども自身の結果に対する見方に共感するところから始めてみませんか。