絵本の読み聞かせを続けた家庭はどうなるの?
こんにちは!
今日は「絵本の読み聞かせを続けた家庭はどうなるの?」というテーマでお話ししたいと思います。お子さんが小学高学年になると、寝る前の読み聞かせをそろそろ卒業かなと考えがちですが、実は続け方次第で思わぬメリットがあるようです。
まず一般的によく聞くのは「語彙力が伸びるから毎日読め」というアドバイスです。確かに根拠のある話ではあります。けれども毎日欠かさず、しかも楽しさを保ったまま続けるのは忙しいご家庭にはハードルが高いです。親が疲れているとつい「今日はスキップでいい?」と言ってしまいますよね。
では読み聞かせを続けた家庭は実際に何が得られるのでしょうか。多くの調査で示されるのは語彙だけでなく「対話の質」の向上です。読み終わったあとに「この子、次はどうなると思う?」と軽く問いかける習慣がつくと、子どもは自然と自分の考えを言葉にし始めます。これは国語の記述問題や総合的な探究活動でのプレゼンにも生きる力になります。
一方で「毎日やらなきゃ意味がない」という言葉はプレッシャーになりがちです。部活動や塾で帰宅が遅い日だってあります。そんなときは一冊を全部読まず、好きなページだけを親子で朗読するといった“つまみ読み”でも十分です。ポイントは楽しさを失わない範囲で続けることです。
もう一つ見逃せないのが感情の共有効果です。物語の登場人物に怒ったり笑ったりしているうちに、子どもは自分の気持ちを言葉で説明する練習をしています。これを“情動語彙”と呼ぶ研究者もいますが、ものすごくざっくり言うと「感情を表す言葉のストック」です。情動語彙が豊かになると友達とのトラブルを言葉で調整しやすくなり、中学で部活動の人間関係が複雑になっても大崩れしにくい傾向があると報告されています。
とはいえ、読み聞かせがいつまでも親主導だと自立のタイミングを逃すのでは、と心配になりますよね。実際は逆で、高学年になったら“交代読み”を試してみるとスムーズにステップアップできます。親が一ページ、子どもが一ページ読む方式です。文字数の多いページは親が担当すれば負担感もありません。
さらに、絵本を読むだけが読み聞かせではありません。図鑑の写真キャプションを一緒に読む、新聞の子ども向けコラムを声に出す、マンガの吹き出しを演じる、どれも立派な読み聞かせです。視点を変えるとネタ切れの心配も減ります。
「でもうちの子はもう反抗期。親が読もうとすると『恥ずかしいからやめて』と言います」という声も聞きます。その場合は“耳だけ共有作戦”がおすすめです。リビングで親が声に出して読んでいると、子どもは勉強しながらでも案外耳を傾けています。ツッコミを入れてくれたらしめたものです。会話の糸口になります。
ここまで読むと「やっぱり毎日やったほうがいいんだよね」と焦るかもしれませんが、回数より「続いている期間」のほうが効果と相関すると言われています。週2回でも一年続けば100回です。子どもは100回分の物語と対話を蓄えます。これは定期テスト前の一夜漬けでは手に入りません。
最後に、今日からできる三つのヒントをまとめます。
-
家の本棚から“好きだけど最近読んでいない絵本”を一冊選び、寝る前5分だけ朗読する習慣をつける。
-
読み終わったら感想を聞く代わりに親が「私はここが好き」とだけ伝え、子どもが話し出すのを待つ。
-
月に一度は書店や図書館で子どもに選書を任せ、自分の興味を言語化する場を作る。
というわけで、読み聞かせを続けた家庭は語彙力だけでなく対話力、感情表現力、そして親子のコミュニケーション貯金が増える傾向があります。回数よりも“細く長く、そして楽しく”がコツです。親子で声を合わせる5分間が、実は将来の学びを支える大きな土台になるかもしれませんね。