塾選びをするとき、授業内容や講師の熱心さ、通塾の便利さなどに目が行きがちですが、見落としてはならないのが安全性の問題です。最近、塾講師による性犯罪など不祥事のニュースが相次ぎ、保護者の間でも「本当に安心して通わせられるか」という疑問が増えています。塾全体の数としてはごく一部の事例ですが、保護者にとっては決して無視できない不安要素です。チラシや公式サイトに書かれていない情報を、口コミや現地の実態からどう読み取るか。本記事では、口コミ事例を交えながら、塾選びで見落としやすいリスクと対策を具体的に紹介します。
なぜ「講師による性犯罪」は対岸の火事ではないのか

統計の変化と報道例
近年、地方・都市圏問わず塾講師が被告となる性犯罪事件の報道が増えてきています。例えば、「生徒への不適切な言動」「盗撮」「プライベートでの接触」が問題になるケースがあり、これまで学校で心配されていたことが、塾でも起きうるという認識が保護者側にも広がっています。
信頼関係と距離感の近さによるリスク
講師は生徒を褒めたり相談に乗ったりする関係になることも多く、子どもが「先生=安全な人」と無条件に信じてしまう構造があります。教室内の閉鎖的な場所や、講師と生徒が一対一になる時間帯、自習室の見回りが十分でない塾などでは、リスクが高くなります。

ネットの口コミに見られる不安面の具体例
実際の保護者・生徒から投稿されたインターネット上の口コミの中には、以下のような具体的な表現も見受けられます。
| 口コミの内容 | 内容の意味すること |
|---|---|
| 「ある先生が送迎時に車で話しかけてきて、少し怖いと思った」 | 講師と生徒・家庭の距離感があいまいなケース。プライベートな接触のあり方を確認すべきサイン。 |
| 「自習室が夜遅くなると講師が減り、うちの子だけが残ることがある」 | 監督体制が甘い時間帯がある。見回り・夜間対応がどうなっているか要確認。 |
| 「教室の補習で他の学校の生徒と混ぜられて、席が端で見えにくかった」 | 教室環境が不透明。誰が見ているか、どの席だと目が届くか考慮すべき。 |
| 「女子生徒を個別で夜遅く残すよう促されたことがあったが、それが普通だと言われた」 | 保護者として許容できる指導かどうか、文化・慣習だとしても疑問を持っておく必要がある。 |
これらはあくまで一部ですが、安全面を考える際の生の声として非常に示唆的です。口コミを読む際、このような漠然とした不安ではなく具体的な状況記述を重視すると良いでしょう。
塾選びで確認したい「これだけは聞きたい質問」

体験授業または面談で、以下のような質問を塾長・教室長に投げかけ、納得できる回答があるかを確認してください。
- 講師の採用プロセスについて
本人確認(身分証・履歴書)だけでなく、犯罪歴チェックなどのバックグラウンドの確認がどこまで行われているか。 - 教室や自習室の監督体制
授業外(自習中・補習後・夜間など)の見回りの頻度と誰がやっているか。防犯カメラの有無と位置。塾の入り口・廊下の明るさ。 - 講師と生徒・保護者との距離の扱い
送迎時や補習時の講師との接触に関する内部規約があるか。塾外での生徒とのやりとりが許可されているかどうか。 - 懲戒・苦情・相談の窓口があるか
講師の不適切な行動があった場合にどこに報告するか、どのような対応が取られるか。保護者から苦情があったときの体制。 - 口コミでの安全に関する記述を探す
「怖いと感じた」「夜が暗い」「先生の対応が曖昧」「自習室で管理が不十分」といった表現。性犯罪に直結しなくても、生徒の安全を重視しているかどうかが見えてきます。

生徒の安全を重視する塾に共通する特徴
口コミや塾内の環境から、安全性を重視している塾には次のような共通点が見られます。
親としてできる日常の防衛策

- 子ども自身に「嫌なことがあったら絶対話してほしい」と伝える。小さいサインを見逃さない。
- 通塾後・補習後の帰宅時間を把握しておく。送り迎え・合流するなど安全確認ができると良い。
- 他の保護者と情報交換をする。生徒・保護者のネットワークから口コミ外の情報が得られることもある。
- 塾を複数回見学する。時間帯・曜日を変えて雰囲気・見回りの対応がどうかを体感。
まとめ:これだけでは不十分、だからこそ多角的な確認を
塾選びで大切なのは、学力を伸ばすことだけでなく、子どもが安心して通える環境を確保することです。講師採用のプロセスや監督体制の仕組み、口コミでの雰囲気、家庭での聞き取りなど、できることはたくさんあります。
ただし、ここで紹介したチェック項目や視点を押さえたとしても、それだけでリスクを完全に排除できるわけではありません。実際には、塾ごとの運営方針や現場の雰囲気、教室長や講師の個性など、見えにくい部分が子どもの安心感を大きく左右します。
だからこそ「不十分かもしれない」という前提を持ち、複数の視点で確認することが大切です。体験授業や説明会だけでなく、口コミや他の保護者の声も参考にし、家庭内で子どもの気持ちを丁寧に聞き取る。こうした積み重ねが、安心して通える塾を見極める力につながります。
