大学受験予備校「ニチガク」閉鎖問題から見る、塾選びで重要な3つの視点とは?

2025年1月4日、東京の大学受験予備校「ニチガク」が事業を停止し、校舎を閉鎖するという衝撃的なニュースが飛び込んできました。大学入学共通テストを目前に控えたタイミングだったこともあり、多くの受験生や保護者が動揺を隠せませんでした。
運営会社の代理人の弁護士によると、ここ数年の受講生減少に伴う経営悪化や、自習室の賃料の支払いなどで資金繰りが難しくなったことが原因とのことです。

大学入試前に予備校が突然教室閉鎖 破産へ 受験生「ショック」

参考:NHK NEWS WEB

こうしたニュースはめったにあることではありませんが、塾や予備校も一種の経営事業である以上、経営環境や経営者の方針によっては倒産や廃業、閉鎖のリスクはゼロではありません。大切なお子さまの受験勉強を託す場所として、信頼性と継続性を見極めることは非常に重要です。今回は、こうしたトラブルを教訓として、塾選び・予備校選びの際に押さえておきたいポイントを解説していきたいと思います。

塾選びでチェックしておきたい3つのポイント

今回のニュースを踏まえ、あらためて重要視したいのが以下の3点です。

  1. 受験が終わるまで責任を持って指導してくれるか
  2. 閉鎖時の補償が契約書に明記されているか
  3. 万が一の際に信頼のおける他塾を紹介できるネットワークを持っているか

これらはいずれも、塾や予備校がしっかりと長期的に生徒をサポートしようという姿勢を持っているかどうかを判断するうえで、非常に重要な視点です。とくに受験生の場合は、年度途中でのカリキュラム変更や勉強計画の狂いが致命的なダメージになりかねません。保護者の立場としては、塾側に経営面での強み・安定性があるか、あるいはもしものときにも最小限の被害に抑える体制があるかどうかを、契約前に確認しておくことをおすすめします。

1. 受験が終わるまで責任を持って指導してくれるか

塾を選ぶ際に費用やカリキュラムなどの比較はよく行うものの、意外と見落とされやすいのが「責任体制」です。たとえば「当塾は合格保証をします」という宣伝文句を耳にすることがありますが、実際にその内容を詳しく確認すると「特定の条件を満たした場合に限る」など制限があるケースも珍しくありません。

あるいは、年度の途中で急に講師が変わってしまう、もしくは生徒の勉強状況を十分に追えていないなど、教室の運営体制に問題があると、肝心の受験生が安心して学べる環境とは言えません。「受験が終わるまで同じ先生が見てくれる」「きちんと学習データや成績の推移を管理している」「必要に応じて生徒や保護者と面談を実施してくれる」など、受験が終わる最後まで手厚くサポートしてくれるのか、契約前にしっかり確認することが大切です。

2. 閉鎖時の補償が契約書に明記されているか

昨今、学習塾の経営業態は非常に多様化しています。個人塾から大手チェーン塾、大学受験専門予備校や中学受験特化塾など、その規模や特色はさまざまです。指導実績が豊富だからといって必ず安全とは限らないことを、今回のニュースが教えてくれました。

そこで重要となるのが、契約書の内容を事前に確認することです。入塾の際に説明を受ける契約書や利用規約に、「廃業や倒産など、塾側の都合で授業が実施できなくなった場合の補償について、どのように規定されているか」を必ずチェックしましょう。
たとえば、「受講料の未受講分は返金する」「授業ができなくなった場合は特定の提携塾に振り替える」「受験直前期に終了となった場合の対応」など、具体的なルールや補償体制が定められている塾もあります。もちろん契約書に明記されていても、自己破産の手続きに入られてしまうと回収が難しくなるケースもあり得ますが、少なくとも契約時にリスクを認識し、確認することで、何らかのトラブルが起きたときに落ち着いて対処しやすくなります。

3. 万が一の際に信頼のおける他塾を紹介できるネットワークを持っているか

今回のケースでとくに注目したいのが、「突然の閉鎖で、生徒が行き場を失った」という点です。大学入学共通テストや二次試験などを目前に控えたタイミングであればあるほど、生徒に与える精神的負担は大きく、受験勉強の計画が大きく狂ってしまう可能性も高まります。

経営上のトラブルは、経営者や運営会社が抱える問題でもあるため、講師自身が正確な情報を掴んでいない場合もあります。しかしながら、運営にも携わっているような責任者の講師が常に生徒を見ている塾の場合、万が一のリスクが見え始めた時点で「ほかの塾を検討してみてはどうか」といったアドバイスを個別に行ってくれるかもしれません。

また、実際にその塾が所属する学習塾協会や業界団体のネットワーク、あるいは近隣に提携塾があるかどうかも、万一の際には大きな支えになります。何かトラブルが発生した場合に「紹介やあっせんを受けられる仕組みがあるのか」もチェックポイントです。

ジュクサガスでお得に入塾できる塾を探す

塾選びの際に押さえておきたいその他の基本ポイント

ここまでは「突然の閉鎖リスク」という観点から、塾選びで確認しておきたい3つのポイントを解説してきました。以下では、一般的に塾選びの際に考慮すべき基本ポイントを整理します。あらためて全体像を俯瞰し、お子さまに合った塾を選びましょう。

1. 費用(授業料・模試・季節講習などの総額)

まず外せないのが、費用面です。月謝や入会金、教材費などの基本的なコストだけでなく、模試代や季節講習費(夏期・冬期・直前講習)など、1年を通じて必要となる総額を把握しておきましょう。とくに大学受験では、夏や冬の季節講習は長期間かつ一括で費用がかさむことが多いので、「年間でいくらかかるか」「追加費用はどの程度か」を事前に確認しておく必要があります。

また、支払い方法(分割払いやクレジット対応など)が選べるかどうかも重要です。家計への負担を見通して、無理のない範囲で選ぶようにしましょう。

2. カリキュラム・指導方針

各塾・予備校は、生徒のレベルや志望校に合わせたカリキュラムを組んでいます。大手であれば確立されたシステムで多様なコースが用意されている一方、個人経営や中小規模の塾であっても、よりきめ細かい対応が可能というケースもあります。どのような教材を使い、どれくらいの頻度でテストや面談を行うのかは、塾選びを左右する大切なポイントです。

「うちの子は基礎から固めたい」「うちの子は難関校を目指しているのでハイレベルな問題演習を積みたい」など、各家庭や生徒によって求める内容は異なります。体験授業や責任者との面談などを通じて、実際にカリキュラムがどう組まれているのか、子どもがついていけるのか、チェックしてみてください。

3. 講師の質・相性

塾選びにおいて、講師の質や相性は非常に重要です。講師の指導スタイルが合わないと、モチベーションを保ちにくくなってしまいます。塾によっては、講師の指名制度や変更制度が整備されているところもありますが、すべての塾がそうとは限りません。

「どのような先生が教えてくれるのか」「経験豊富なプロ講師なのか、大学生のアルバイト講師が多いのか」「講師は固定制か、コロコロ変わってしまわないか」など、事前面談の際に直接質問してみるとよいでしょう。お子さまが質問しやすい雰囲気や、分からないところに丁寧に対応してくれる環境があるかどうかもチェックポイントです。

4. 教室環境・立地

特に中高生の場合は、帰宅時間が遅くなることも多いため、教室の立地や周辺環境の安全性は見逃せません。夜遅くなっても通いやすい駅前立地なのか、人通りが少ない場所ではないか、教室内のセキュリティはどうなっているのか、といった点を実際に足を運んで確かめましょう。

また、自習室が充実しているかどうかは、受験に挑むうえで大きなアドバンテージになることがあります。毎日学校から塾に直行して勉強したい子、友人たちと切磋琢磨しながら勉強したい子など、それぞれの勉強スタイルに合わせて、自習室の使い勝手や空き状況を確認しておくと良いでしょう。

ジュクサガスでお得に入塾できる塾を探す

突然のトラブルを想定することの重要性

今回のニチガク閉鎖のような事例は、決して頻繁に起こることではありません。しかしながら、子どもたちの大切な受験の時期に突然予備校が閉鎖される可能性がゼロとは言い切れないのも事実です。特に個別指導塾や中小の学習塾は、経営実態が見えづらいケースもあるため、保護者の立場としては「万が一のリスクもある」という意識を持つことが大切です。

  • 契約時の確認
    受講料の扱いや補償について、契約書を細かく確認する。
  • コミュニケーションの頻度
    担任の先生や運営側と定期的に面談をし、運営状況など気になる点をこまめに聞いておく。
  • ネットワークの有無
    塾同士の連携があるか、学習塾協会や提携塾など、他に相談先があるか確認する。

もちろん、どれだけ対策をしていても突然事業停止になってしまった場合は、どうにもならないこともあり得ます。それでも、「事前に聞いておけば良かった」という後悔をしないために、少し面倒でも塾の運営体制や補償規定をしっかりと調べることは大事です。

信頼できる塾・予備校との出会いのために

塾や予備校を選ぶときは、費用・カリキュラム・講師の質など、多角的に検討する必要があります。さらに今回のニュースをきっかけに、「塾が途中で閉鎖するリスクがあるかもしれない」という視点も加わりました。特に受験を控えたお子さまの場合、塾や予備校が生活の中心となるケースも少なくありません。だからこそ、家族全員で情報をしっかり収集し、複数の候補を比較検討しながら慎重に決めることが大切です。

情報収集のポイント

  1. 口コミ・評判
    ネット上の口コミだけでなく、実際に通っている友人や先輩の声を参考にしましょう。ただし、口コミは個人差や偏りがあるため、最終的には自分の目で確かめることが大切です。
  2. 公式サイト・資料請求
    カリキュラムや合格実績、講師陣の紹介など、公式情報をチェックして自分のニーズに合うかを確認します。
  3. 体験授業・面談
    実際に授業を受け、教室の雰囲気を体感するのが最も確実です。講師との相性や教室環境は、サイトやパンフレットだけでは分かりません。

面談や説明会で質問したい内容

  • 経営体制・運営者は誰か
    長年の実績があるのか、あるいは新規開校なのかなど、塾の信用度を測るうえで重要な手がかりとなります。
  • カリキュラムの自由度
    一人ひとりに合わせてプランを組んでくれるのか、集団授業なのか、個別指導はどの程度の割合か。
  • 補償内容や退塾規定
    仮に生徒が都合により退塾する場合や、塾側が授業提供できなくなった場合の対応が明確かどうか。
  • 講師の配置・担当変更の可能性
    受験期に大切なのは安定して指導を受けること。講師が次々と変わる環境では落ち着いて勉強しづらい場合もあります。
  • 他塾との連携や提携
    万が一のときに助け合えるネットワークがあるかどうか。

まとめ:子どもの学びを最優先に、安全策を講じよう

塾や予備校選びは、お子さまの学力向上や志望校合格に直結する重要な決断です。費用やカリキュラム、立地や講師の質を総合的に判断するのはもちろんですが、今回のニチガクの突然閉鎖という事例から学べるように、「途中で通えなくなるリスク」や「補償やネットワーク体制の有無」をあらかじめチェックする姿勢が求められます。

  • 最後まで責任を持って指導してくれるか
  • 閉鎖時の補償が契約に明記されているか
  • 他塾の紹介など、リカバリー体制があるか

改めてこの3点を念頭におきつつ、普段から保護者が塾の運営状況にアンテナを張り、コミュニケーションをとっておくことも大切です。実際、突然閉鎖や廃業に至るケースは稀かもしれませんが、事前にそうしたリスクを知っているだけでも「もしものとき」に動きやすくなります。

そして何より、塾の経営に不安を感じたり、ちょっとでも講師や教室の様子に違和感を覚えたりした際は、遠慮せずに子どもや保護者自身の判断で塾を変えることも検討しましょう。受験勉強は精神的な負荷も大きく、時間との勝負でもあります。良い環境で伸び伸びと学習できることが、合格への近道です。保護者としては、「子どもが安心して取り組める塾なのか」を冷静に見極めながら、安全策を講じておく意識を持ちましょう。

お子さまの学びが実り多いものとなり、志望校合格につながるよう、事前の情報収集と対策をしっかり行ってください。保護者の皆さまの賢明な判断が、お子さまの将来を大きく左右する大切な一歩となるはずです。ご家族でよく話し合い、最良の塾選びを実現しましょう。

ジュクサガスでお得に入塾できる塾を探す

よく見られている記事